面談で「最近どう?」と聞いたら、部下は「・・・」。数秒後、口を開いたのは自分で、喋っているのは自分だけ、、、。
そのまま話は進み、面談は予定の時間になって終了。部下が言いかけたことは、最後まで聞けていません。なんとか聞き出そうとするけれど、次の面談でも同じことを繰り返してしまう。
私は、正規の教諭として14年、生徒と向き合ってきました。
今も非常勤講師として教壇に立ちながら、Tomosuで営業職の方に「傾聴」という聞き方のスキルをお伝えしています。
そんな私ですが、この場面、実は他人事じゃないんです。あの時は、、、と思い出すことがたくさんあります。
部下の沈黙が待てない時は、手を止めて体ごと向き合い、信じて待つ
で、結論から言うと、部下が黙ったら、口を開く前に、パソコンや資料から手を離して、体ごと部下の方に向く。大事なのは、「誠心誠意」向くことです。
やるべきことは、部下を信じること。何を信じるのかというと、「ちゃんと答えてくれる」ということです。
私は、相手が答えを導き出せると信じて待っています。むしろ、待つことで、相手の本当の意見や気持ちを聞けると思っているんです。
話しやすいように、自然な笑顔で。
部下の様子が明らかにつらそうな時は、待つより先にやることがあります。それは最後に書きますね。
待てなかったのは、私も同じでした
いやぁ、私は昔から待てる人間だったわけではないんです。
時間割の中で、生徒の話を先読みしていた
学校の先生は、ほんと忙しい。生徒とゆっくり話せるのは、授業と授業の合間の休み時間か、放課後くらいです。まとまった時間は、なかなか取れません。いつも時間割に縛られていました。
そうなると、生徒との会話にまで効率を求めてしまうんですよね。
「この生徒は、こんなことが言いたいんだろうな」と先読みする。「こうでしょ」と、ある程度決めつけて聞く。
生徒自身の言葉で話してもらう前に、私が話の先を決めていたんです。今思うと、ちょっと恥ずかしいです、、、。
家でも、答えを渡していた
しかも、これは学校だけの話じゃありませんでした。家でも同じ。
妻は、愚痴や世間話をしてくれていました。相談というより、ただ話を聞いてほしいという状態です。
それなのに私は、解決策を出さなきゃ!と思って聞いていました。必要のないアドバイスを、それはもうたくさん、、、。
あなたの面談でも、同じ流れになっていませんか
面談の枠は決まっていて、次の予定も詰まっている。早く要点に入りたい。
そこで部下が黙ると、その間が怖くなりませんか? 「あの件で悩んでいるんだろう」と先に当たりをつけて、「それなら、こうすればいいよ」と答えを言ってしまう。私は、これをめちゃくちゃやっていました、、、。
部下が困っていそうなら、なおさら答えを渡したくなる。家で妻の話を聞いていた時の私も、そうでした。
教室では時間に追われて、家では解決策を出さなきゃと思って。理由は違っても、私が先に答えを出していたのは同じなんですよね。
話を聞いてもらえなかった側から見ると
実は、逆の立場も経験しています。私が話を聞いてもらえなかった側の話です。
教員時代、訂正してほしい提出書類を管理職のところへ持っていくと、目を見ないまま「そこ置いといて、後で見るよ」と言われました。正直、あれはへこみました。
口頭で質問に行っても、返事はメールで返ってきました。
作業の合間や空返事だと、話す気がなくなるんですよね。私は、そう感じていました。
画面を見たまま「うん、聞いてるよ」と返す。こちらは聞いているつもりなんです。でも部下には、私が受け取った「そこ置いといて」と近く見えているかもしれません。
聞く姿勢の3段階
些細なことでも、聞く側の対応で受ける印象は全然違います。次の3つのパターンを見てください。
返事だけをする。顔や手は、作業中のパソコンに向いたまま
手は止めるけれど、顔だけを向ける
手を止めて、体ごと相手に向ける
この記事で言う「手を止めて向き合う」は、3のこと。あの時の私が受け取ったのは、1でした。
3の時、部下の目に入るのは、自分の話を聞こうとしている姿。1や2では、そう見えにくいと思います。
待っている間、聞く姿勢が相手に見えているか。ここなんです。だから、部下が黙ったら、まず手を止めます。
傾聴を学んで、待ち方が分かった
そんな私が変わったきっかけが、傾聴でした。ただ、待てていないことに気づいたわけじゃなく、待ち方が分かったんです。これが、私には大きかった。
傾聴を学んでからは、生徒が口にした言葉を、大事に受け取って返すようにしました。
すると、生徒の方から話しかけてくれることが増えたと感じています。いやぁ、これはうれしかったです! 生徒の言葉に目を向けるようになったから、気づけるようになったのだと思います。
神妙な面持ちで話してくる時もあれば、明るく元気に「先生、話聞いてよ」と来る時もありました。この「先生、話聞いてよ」が、ほんとにうれしくて!
中には、「それは親に相談することやで」と返すような内容まで、話してくれる生徒もいました。そこまで話してくれるのか、と驚きました。
生徒の言葉を大事に返していたから、安心して話しかけてくれるのでは、と私は考えています。
そして、家でもあったんです! 妻から「話を聞いてくれるようになった」という言葉をもらいました。
いやぁ、びっくりしました。そして、うれしかった。あれだけ必要のないアドバイスをしていた私が、ですよ。
この言葉で、話を聞くことの重要性に気づきました。
妻との関係性も、アップしたと思っています!
先読みされずに自分の言葉で話せる場にすることは、面談でも試せます。
沈黙を埋めていた、営業の受講生の話
沈黙を待てないのは、管理職の方だけではありません。
私の受講生(営業職)の方の話です。
一生懸命に説明をして、いざ「どうですか?」とお客さんに聞いたそうです。
そうしたら、お客さんは「・・・」。
私の受講生は、お客さんに話が伝わっていないのではと心配になり、お客さんの沈黙を埋めるように、商品の説明や追加の説明をしていたそうです。
その方は、私のレッスンを受ける中で、「沈黙は相手の思考を深める時間だ」と学んでくれたようで、その後はお客さんの沈黙を安心して待てるようになったそうです。
ご本人の了承をもらって紹介しています。
あくまでご本人の感想で、誰にでも同じ変化が起きるわけではありません。
商談で説明を足してしまう動きと、面談で答えを言ってしまう動きは、どちらも沈黙を自分で埋めてしまうところが似ています。
次の面談で試すこと
待ち方が分かったら、あとはやってみるだけです。試すのは、これだけ。
部下が黙ったら、答えを言う前に、手を止める。体ごと部下の方を向く。そのまま信じて待つ。
質問をして、部下が黙る
口を開く前に、手を止めて、体ごと向く
心の中で5秒数える(根拠のある数字ではなく、私のやり方です)
話し始めたら、途中で口をはさまずに聞く
体ごと向く、といっても難しいことではありません。キーボードから手を離す。椅子を部下の方へ向ける。メモを取っているなら、一度ペンを置く。
黙った部下を前にすると、口を開きたくなる瞬間が来ます。ほんと、来るんですよね。その一拍で、手を止める。待てない時に、私は心の中で数えています。
余裕があれば、次のことも試してください。
時計を見ない。正直、時計を見るのはとても失礼だと思っています。「早く終わらせたい」という合図に見えてしまうんです。時間が気になるなら、面談の終わりの時刻に余裕を持たせておく
視線は、私は相手から外さないようにしています。ただ、上司と部下の面談では、目を合わせ続けると圧に感じる人もいるかもしれません。目を合わせ続けなくても、顔と体が部下の方を向いていれば十分です
よくある質問
何秒待てばよいですか
私は、心の中で5秒数えています。
沈黙の長さの感じ方は、人や場面で違います。秒数より大事なのは、数えながら、相手から体を離さないこと。正直、数字よりこっちなんですよね。数字を追わずに、部下を信じて待つ。
待っても部下が話し出さない時は、どうすればよいですか
基本的には、待ちます! ただ、それでも動きがない時は、一旦話を変えることがあります。
「話は変わりますが」と言って、別の話題に移る。そのあとで、「ところで」とさっきの件を改めて聞く。「やっぱり気になるんですが」と戻るのも、きっかけになります。黙った話題から一度離れて、また戻ってくる感じです。
それでも話が出ない日は、あります。そういう時は、「今すぐでなくていいので、思いついたら教えてください」と伝える。あとから話せる余地を残して、その日は終わる。次の機会に、また試す。
忙しくて、手を止める時間が取れない時はどうすればよいですか
手が止められない時に、作業の合間のまま聞くと、「話す気がなくなる」状態になりかねません。聞いてもらえなかった側だった私には、これがよく分かるんです。
その場では聞かずに、「今は手が離せないので、あとで時間を取らせてください」と伝える。向き合える時間は、改めて決める。短くてもいいので、手を止めて聞く時間を先に確保する。
まとめ:部下が黙った時は、手を止めて体ごと向き合い、信じて待つ
部下が黙ると、忙しさや時間割のような枠の中で、つい先読みして答えを言いたくなる。私もそうでした。いやぁ、ほんとに。
次の面談で「最近どう?」のあと部下が黙ったら、答えを言う前に、手を止めて体ごと部下の方を向く。そのまま信じて待つ。聞こうとしている姿が、部下の目に見えるように。まずは1回、試してみてください。
そのうえで、答えを先に決めずに、部下自身の言葉が出てくるのを待つ。
部下の沈黙が続いて、ハラスメントや心身の不調が心配な時は、この記事の待ち方で何とかしようとせず、社内の相談窓口や産業医、専門の相談機関につないでください。Tomosuのレッスンは、医療や心理療法ではありません。
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